アスリートのコンディション管理

こんにちは!
DOGOトレーナーの佐藤です!

今回は、アスリートのコンディションについてです。
練習や試合において負荷がかかりすぎると傷害発生率が高まり、負荷が低すぎるとパフォーマンスの低下に繋がるため、負荷のコントロール・休養・回復は適切に行わなければなりません。

アスリートといっても競技の種類は様々で、競技によって試合の数やタイミングなども変わってきますし、また同じ競技の中でも試合の出場時間によって負荷は全く違います。
ただベースとしてやるべきことや、考え方は変わらないのでその部分についてお話していきたいと思います。

●目次

・コンディション管理のために
・負荷の基準とは
・回復方法
・まとめ

●コンディション管理のために

コンディションを整えるために何かやっていることはありますか?
なんとなく疲れた時にたくさん寝て、なんとなく身体に良さそうなもの食べて、なんとなく走り足りない気がするからたくさん走って・・・
こんな風に曖昧な自分の主観的情報に頼りすぎてはいませんか?
コンディショニング管理に重要なのは主観的情報と客観的情報の両方です。

【主観的情報の例】
・疲労感
・筋肉の痛み/ハリ
・食欲
・ストレスレベル
・睡眠の質
・栄養の質
・RPE(主観的運動強度)

【客観的情報の例】
・体温
・体重
・心拍変動(HRV)
・月経
・GPSデータ(走行距離/加速等)
・運動時脈拍
・ジャンプ高/回数
・練習時間
・睡眠の質(デバイス測定)
・睡眠時間
・栄養状態(尿・便等)

これらの情報を毎日記録しデータに基づいて管理を行うことで、怪我を予防し試合で高いパフォーマンスを発揮することができます。

客観的情報である走行距離や運動時脈拍、心拍変動、ジャンプ高、睡眠の質など、データを取得する必要がある項目はデバイスなどのツールが必要になります。
チームとして取り入れているところはいいですが、なかなか高価なため難しい場合がほとんどです。
私が使用している“Polar Ignite”というデバイスは自分自身でも買えるくらいの価格で、運動時や睡眠時の細かな情報を取得することができるのでお勧めです!
チームとして何もしていないという人は自分でできる工夫をしてみてください。

また、ジャンプ高に関してはDOGOでは“Opto Jump Next”というツールを使用しています。シーズン前に測定することでそれぞれのタイプや苦手な動作を把握し、シーズンに向けてのプログラムが組みやすくなります。
そしてシーズン中、シーズン後に再度測定することでパフォーマンスが維持できているかを確認することもできるので、こういった測定機器の利用は多くのチームに行ってほしいと感じています。

このようにコンディションを管理するためには主観的情報だけに頼らず、客観的情報も取り入れながら行うことが大切です。
そして取得した情報を週ごと、月ごとに振り返りフィードバックを行うことで、現状を把握し事前に怪我を予防することにも繋がります。

●負荷の基準とは

では、コンディション管理を行う際にどのようにして負荷を調整し何を基準にすればいいのでしょうか。
指標となる数値はいくつかありますが、代表的なものとして以下の5つがあります。

1TRIMP(トリンプ、トレーニング刺激)
Trining Impuls=各トレーニングゾーンに設定した任意の「係数(k)」×トレーニング時間
1回のワークアウトが身体に与えた負荷がどの程度だったかを計算できる。

2Monotony(モノトニー)
「ワークアウトの単調さ」=週の合計TRIMP÷標準偏差
例えば低強度のワークアウトをひたすら時間をかけて継続すると、TRIMPから分析できるワークアウトの「単調さ(Monotony)」は高くなる。「単調さ」は低い方が良いとされ、強弱のついたワークアウトがより高いパフォーマンスに結びつく。

3Strain(ストレイン)
「ワークアウトの負担」=週の合計TRIMP×Monotony
1週間のTRIMPの合計とワークアウトの単調さの積から「ワークアウトの負担」が計算でき、1週間でどの程度の負担が身体にかかったのかが予測できる。
※複数週間の平均値と比較する

4長期TRIMP
短期TRIMP(最新の週のTRIMPの合計)の4週間の平均値を長期TRIMPと呼び、長期的なトレーニング刺激として算出される。長期的なトレーニング刺激が身体にどの程度かかったかを予測できる。

5ACWR
Acute Chronic Workload Ratio=1週間の負荷平均÷4週間の負荷平均
3~4週間のトレーニング状況から「けがのリスク」を予測する。
1.5を超えるとリスクが高まるとされ、トレーニング量の調整が必要になる。また低すぎてもパフォーマンスの低下に繋がるため、主観的情報と数字を合わせて計画を立てる必要がある。

ACWRは「Sweet Spot」と呼ばれる0.8~1.3(緑色のエリア)が理想とされています。

1.5以上(赤色のエリア)は身体に対する負荷が急激に上昇したことを示しており、怪我のリスクが急激に高くなります。
このように様々な指標を使って負荷を測定することが可能です。そのためには長期的に記録することが重要です。
現在私がコンディションを管理させて頂いているサッカーチームでは、毎日選手から主観的情報と客観的情報を収集しACWRを算出しています。主観的情報だけに頼らず、数値化し管理することは必要だと感じています。

●回復方法

負荷を調整するためにはトレーニングの量や強度を変化させるだけでは不十分です。負荷が上昇した時にいかに素早く、効率よく回復できるかが鍵になります。
睡眠・栄養・エクササイズ、主にこの3つを意識し取り組むことで素早い回復が可能です。

◎睡眠に関してはこちらの記事《睡眠が競技パフォーマンスに及ぼす影響》をご覧ください。

◎栄養
何を食べたらいいのか分からない。いつ食べたらいいのか分からない。
そんな声をよく聞きますがポイントさえ押さえておけば迷わないと思います!
比較的取り入れやすい方法としては、

・練習や試合の後すぐに糖質とタンパク質を同時に摂取
➡終了後30分以内に摂ることで疲労回復のために使われる
・晩ご飯が遅い場合は生野菜は控えて、緑黄色野菜を中心に火を通したもの!
➡生野菜は消化に悪いので睡眠の質低下に繋がってしまう
・1日で帳尻を合わせるのではなく3食に分散
➡分散させることで吸収率UP!
・ビタミンB群も積極的に摂取
➡糖質、タンパク質、脂質をエネルギーに変換してくれる!

これらを意識するのはそんなに難しいことではないと思います。少しでも疲労を残さないために、少しでも回復して次の日にまた良いパフォーマンスを発揮するために、このポイントだけでも意識してみてください!

◎エクササイズ
身体を素早く回復させるためにはただ家でゆっくりするだけではなく、積極的に身体を動かすアクティブリカバリーが有効です。
疲労により乱れた動作の質を向上させるためのエクササイズ、副交感神経を優位にし身体をリラクゼーションさせるための呼吸エクササイズなどもありますが、誰でも取り入れやすいエクササイズとして「高強度継続的トレーニング(HICT)」があります。

「高強度継続的トレーニング(HICT)」とは、低テンポの運動心拍数は上げすぎずコントロールしながら行うエクササイズです。バイクや水中ウォークなどがお勧めです!
・バイクだとRPM(回転数)は40くらいになるように負荷を設定
➡試合やハードな練習で多く使われる速筋繊維に対する負荷を避けることができる
・心拍数は75%HRMax(おおよそ150bpm)より高くならないようコントロール
➡疲弊した心肺機能に負荷を掛けない
・時間は10~20分、1~2セット

試合の後やハードな練習のリカバリーとしてこのエクササイズを取り入れてみてください!

●まとめ

コンディションを管理するためにまず必要なのは、普段から自分のコンディションを記録し把握することです。主観的情報だけでなく客観的情報も把握することでより正確に管理することができます。
チームとして取り入れていないところはデバイスを購入するなどして自分でできる工夫をしてみましょう。
自分の状態を把握できたらあとは、その時の状態に合わせて負荷の調整やリカバリーを行うだけです!
言葉で言うのは簡単ですが、実際に取り組むのは努力が必要です。当たり前ですが、何事も継続して地道に積み重ねていくことで初めて自分のものになります。

55歳で今もなお現役でプロサッカー選手としてプレーする“キングカズ”は、「当たり前のことを当たり前にする」ことを徹底しているそうです。
やっていることは難しいことではないけれど、それを何十年も継続してやり続けるというのは簡単ではありません。
この年齢でもコンディションを維持し続ける理由はそこにあるということです。
すべてのアスリートにとっての鏡ですね!
皆さんもこの記事を参考に、そして“キングカズ”を見習ってコンディション管理に取り組んでください!

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